2009年11月1日

動物病院の待合室で

一か月ほど前のことです。

雑木林で捕獲保護した猫を、良心的だという評判の動物病院へ連れていき、
検査と避妊手術を依頼しました。

2週間近く入院しましたので、ちょくちょく面会にでかけていた
ある日、
待合室に初老の夫婦が持ち手付きの段ボール二つを手に提げて現れました。

服装はあまり立派ではなく、独特の雰囲気があります。

何か違和感がありましたが、
気のせいと思い直し、箱から取り出される2か月未満の子猫ちゃんに目をやれば、
抜群の可愛らしさ、この病院ではめったに見ない純血猫のようです。

あまりに可愛らしいので、声を掛けました。

「可愛いですね!」
「これはスコティッシュフォールドだよ。カリシって言われてな。」

カリシ・・・!

出し入れする箱がキャリーケースではないので、
「拾われたんですか?」
と単純に尋ねたところ、
「いや”市場”から戻されたんだよ。
チェックした医師は大丈夫って言ってたのに、向こうで病気を見つけられちまって。」

その話しぶりはきわめて無邪気。

私は言葉を失いました。

男性の膝から胸元へ登っていく子猫は、どう見ても飼い主に甘えているように見えます。
車へ書類を取りに戻るため、男性は箱に子猫を戻します。
元気そうに見える子猫は箱からぴょんと顔を出します。

女性のほうが子猫の首を軽く握って箱の底へ再度戻します。

男性が戻ってきました。
手にしていたのは、おそらく”出荷一覧表”。

猫の毛色について「これはレッドなんたらだから・・」
口にしていましたが。

病院に連れてくるだけマシなのかもしれません。

ホームセンターのペットショップ。
陳列ケースの中にいる子犬、子猫たちはこういう人たちが繁殖させているのですね。

ひとつの現実に触れました。

              蘭

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