一か月ほど前のことです。
雑木林で捕獲保護した猫を、良心的だという評判の動物病院へ連れていき、
検査と避妊手術を依頼しました。
2週間近く入院しましたので、ちょくちょく面会にでかけていた
ある日、
待合室に初老の夫婦が持ち手付きの段ボール二つを手に提げて現れました。
服装はあまり立派ではなく、独特の雰囲気があります。
何か違和感がありましたが、
気のせいと思い直し、箱から取り出される2か月未満の子猫ちゃんに目をやれば、
抜群の可愛らしさ、この病院ではめったに見ない純血猫のようです。
あまりに可愛らしいので、声を掛けました。
「可愛いですね!」
「これはスコティッシュフォールドだよ。カリシって言われてな。」
カリシ・・・!
出し入れする箱がキャリーケースではないので、
「拾われたんですか?」
と単純に尋ねたところ、
「いや”市場”から戻されたんだよ。
チェックした医師は大丈夫って言ってたのに、向こうで病気を見つけられちまって。」
その話しぶりはきわめて無邪気。
私は言葉を失いました。
男性の膝から胸元へ登っていく子猫は、どう見ても飼い主に甘えているように見えます。
車へ書類を取りに戻るため、男性は箱に子猫を戻します。
元気そうに見える子猫は箱からぴょんと顔を出します。
女性のほうが子猫の首を軽く握って箱の底へ再度戻します。
男性が戻ってきました。
手にしていたのは、おそらく”出荷一覧表”。
猫の毛色について「これはレッドなんたらだから・・」
口にしていましたが。
病院に連れてくるだけマシなのかもしれません。
ホームセンターのペットショップ。
陳列ケースの中にいる子犬、子猫たちはこういう人たちが繁殖させているのですね。
ひとつの現実に触れました。
蘭
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